身をもって知った自主防災の大切さ

被災地ツアーの効果と限界

もくじ

増えてきた「復興支援ツアー」

最近(2013年9月)、地元紙やそこに織り込まれたビラの中に旅行会社が主催する津波被災地域への復興支援ツアーの広告が増えてきました。

『見えなかったもの』を認識してもらえたか」へ

「見えなかったもの」を認識してもらえたか

多くの方が心に傷を負い、職場や財産だけではなく思い出の品も失い、「この先自分や子供や孫の人生はどう展開していくのだろうか」と不安を抱えていらっしゃる地域へ、
「津波被災者の方々に寄り添う気持ちを持たれ、かつ訪問する時間的余裕のある方々」が向かわれ、食事をしたり買い物をすることで間接的に訪問先の方々の生活を支援するだけでなく、「津波被災地の現状」をご自身の脳裏に焼き付けて帰宅されるのですから、
有意義な企画旅行商品が途切れなく提供されるようになったことをうれしく思うのですが、
と同時に「『ツアー参加時に見えなかったものがある』と参加者の方々に認識してもらった上で散会しているのだろうか」と心配もしているところです。

『被災地・神戸の視察』で見聞きした3つのこと」へ

「被災地・神戸の視察」で見聞きした3つのこと

被災箇所移動中に「震災で負傷者した方」と遭遇

というのも、私自身、「1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の復興支援のために」と(大震災から1年半が経過し神戸市内で高速道路も復旧した直後の)96年10月末に日本を代表する通信回線提供会社が宝塚市で開催した会合に出席したことがあって、
(阪急梅田駅から宝塚駅までの車窓から見える壁にひびの入った建物の数の多さに驚かされ、宝塚市内の老舗ホテルの客室の壁に残された何本ものひび割れに「就寝中にこの天井が落ちてきたら」と恐怖心を抱かされ、宝塚市内ではタクシーの車窓から「土砂の崩落を防ぐ擁壁に対して仮対応工事がなされているだけの垂直に近い崖」や「一階部分が完全に潰れた二階建ての家屋」をいくつも目にして大きなショックを受けた上で)、
翌日、別の会社のご手配で(三宮駅前・本山第一小学校といった)神戸市内の代表的な被災箇所を訪ねさせてもらったのですが、
それはいわば「ここで当時テレビで放映され続けていた(避難者の皆さんが小学校の校庭でたき火で暖を取るなどの)光景が起きていたのですね」ということを現地で確認する視察に過ぎませんでした。

そして、「『被災直後に現地入りする政府や国会の調査団』以外の被災地視察はこういったものなのだろう」と思いながらタクシーで移動していたところ、
長田区の旧菅原市場近くの片側2車線の道路を、けがをし松葉づえをつかれた、ご高齢の女性の方がゆっくりと斜めに車道を横切る場面に遭遇することとなりました。

「私は震災で転職」「子供には圧死の可能性が」との打ち明け話も

すると、これまでずっと無口だったタクシーの運転手さんが
震災でけがをされた人なのでしょう。(横断し終わるまで)堪忍してやってください」と言って走行車線上で車を停め、
「実は私、勤めていた靴工場が焼け落ちたものだから、タクシー業界に転職したんです」というお話をはじめられました。

また、それに続いて、ご好意で案内役を務めてくださっていた会社の方からは
「逆単身赴任中だったので子供を『お父さんが甲斐性なしだからごめんね』といって寄宿舎に入れていたので無事でしたが、普通の学生のように木造アパートに入れていたら(倒壊した建物に押し潰されてしまって)生きて会えなかったと思っています」
というお話がありました。

『被災者の置かれている状況や心の中にある思い』は見えない」へ

「被災者の置かれている状況や心の中にある思い」は見えない

ということは、このハプニングがなければ「お二人の方の置かれている状況心の中にある思い」を知ることなく被災地の個人視察を終えていたということですので、
仙台に戻ってから「『被災地の視察では目に見えなかったものについては分かっていない』という謙虚な姿勢を持たなければ」と強く思わされた――という経験を持つが故にでした。

いま企画されている被災地ツアーには「語り部」的な方のお話がセットされていて私の心配は杞憂に過ぎないものかもしれませんが、
できるだけ多くの方に津波被災地を訪れていただき「こういった考えられないようなことが起きることもあるのだ。やれるだけのことは事前にやっておこう」という気持ちを一人でも多くの方に持っていただければ、と強く思っています。

(投稿日:2013/09/15  更新日:2017/04/06)

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