身をもって知った自主防災の大切さ

映画「日本沈没」と多発する自然災害

もくじ

「原作小説」についての振り返り

映画「日本沈没」の一場面

2015年6月2日にBS-TBSで放映された映画「日本沈没(2006年制作版)」の録画を見、3つのことを考えました。

その第一は「『小松左京さんの原作小説』についての振り返り」ですが、
1973年(昭和48年)春の発行直後に読む機会があり、
サイエンスフィクションの世界のこととはいえ、いわゆる「国難」と向き合う政・官・財界の人々と学者・ジャーナリストと呼ばれる人々と、(事情をよく理解できない人々を含む)市井の人々の様々な動きが書き込まれていたところから、
当時「私は、いつ、どんなかたちで次の『国難』とかかわることになるのだろうか」と深刻な読後感を持たされたことを思い出しました。

『1973年制作版映画』についての振り返り」へ

「1973年制作版映画」についての振り返り

防災教材的な側面を持った映画

また、その第二は「この長編小説を下敷きにした(1973年12月に劇場公開された)映画『日本沈没』をロードショー段階で見たときについての振り返り」ですが、
まず、いまでも「地震のときに地下鉄のトンネル内は比較的安全」と言われていますし当時もそう思っていたところに、「巨大地震で(週に何回か改札口を出入りしていた)丸ノ内線のトンネルが崩れて電車が脱線し乗客が負傷するという場面」が出てきて脳裏を離れず、
以来ときどき「いま、この瞬間に巨大地震に遭遇してしまったら」と公共交通機関を利用中に考えるようになるぐらい自主防災を強く意識させる防災教材的な側面を持った映画だった、ということを思い出しました。

「国難」と向き合う人々も描いた映画

加えて、この映画では丹波哲郎さんが演じた「国難」と向き合う山本首相とその周辺の人々の動きが映画の一つの柱になっていたわけですが、
現実の世界でも映画が公開される直前の同年10月に突発した第1次石油ショックで
「日本経済の生命線である原油確保の見通しがつかなくなった」とか
「トイレットペーパーや洗剤などの売り惜しみと買いだめで店頭から商品が消えた」とか
「消費者物価が跳ね上がって実質賃金が急速に目減りした」とか
「省エネ・節電のために街中だけでなく人々の心も暗くなった」などの環境の激変があって、
上映中の映画と類似したかたちで田中角栄内閣による「石油ショック対策」が動きだし、
私も立場や利害の異なる人々が「日本の産業・経済・社会を破たんさせないためにはどうすべきか」という共通認識の下で動かれる姿を垣間見ることができましたので、
映画「日本沈没(1973年制作版)」は「危機が突発したときに、日本の中枢部でこういった好ましい動きが起きることもある」ということを示してくれた映画だった、と思わされたことも思い出しました。

垣間見た「狂乱物価の沈静プロセス」

というのも、「石油ショック対策」の一環として(国会記者会館ビル南側の現在内閣府が入っている)総理府ビルの大会議室で週に2回のペースで開催された総理府総務長官の臨時諮問機関的な「物価問題調査会」に何度も陪席して、
詩人・経済人として多忙な西武の堤清二さんや自民党と意見を異にする主婦連の春野鶴子さんと日本消費者連盟の竹内直一さんらが積極的に議論をされ、「昭和49年度末(1975年3月)の消費者物価上昇率目標=15%」という生活弱者の人々の立場に立った意見集約に至るまでのプロセスを見聞きできたからなのですけれども、
実際、消費者物価指数は映画が公開された1973年12月に前年同月比で18.3%の上昇率、ピークの1974年2月には24.9%の上昇率を記録していましたので、記者団からの「実現できっこない目標だと思うのですが」という質問に対して小坂徳三郎総務長官が「必要なことは政治家の気合で実現させるのだ」と答えたという一幕もあったぐらいでしたが、
後に有名な「40日抗争」の当事者になる派閥のリーダーたちも恩讐を超えて主要閣僚としてこのときは一致協力して物価対策に取り組み、1975年3月には13.9%の上昇率というかたちで「不可能と思われていた目標達成」を実現させたからでした。

「巨大災害対策」は石油ショック時と比べると不十分

「公害問題」にせよ「交通事故死問題」にせよ、多くの被害者と犠牲者を生み出した後ではありましたけれども、国を挙げての対策がとられて大きく改善されています。
この頃と比べると、「避難勧告や避難指示を発令する時期が以前よりも早くなった」とか運用面での改善が図られていることは認めますが、「日本列島は、東日本大震災以降、自然災害が起きやすい体質に変わった」という趣旨の報道が相次いでいる中で広がっている国民の不安に政治が「石油ショック」のときほど十分に応えていないな、ということも映画「日本沈没(1973年制作版)」の振り返りで、気付いたことの一つでした。

『2006年制作版映画』を見ての感想」へ

「2006年制作版映画」を見ての感想

さらに、その第三は「1973年の5年後に発生した『昭和53年宮城県沖地震』、1995年に発生した『阪神・淡路大震災』、2004年に発生した『平成16年新潟県中越地震』などを踏まえてどういう作品に仕上がっているのだろうと予備知識なしで見た映画『日本沈没(2006年制作版)』をめぐっての感想」についてですが、
「国難」と向き合う政・官・財界の人々などの様々な動きがほとんど描かれていない、
「阪神・淡路大震災」や「平成16年新潟県中越地震」などで散々報道されていた避難所でのプライバシーの無さや(全国各地で巨大地震と火山噴火が頻発したら当然起きる)上下水道・電気・ガス・通信といった社会インフラの崩壊から来る被災者の悩みと苦しみも描かれていない、
などなどの問題があって、映画データベース系サイトに「(東日本大震災以前に書き込まれたものがほとんどの)厳しい口コミ」がたくさん残されているのもやむを得ない作品と思いました。

また、映画データベース系サイトの口コミで唯一ほめられている特殊撮影効果も、
この映画の制作以降にスマホなどで大量に撮影されて放映された「東日本大震災をめぐる数多くの映像」「御嶽山の噴火をめぐる映像」「口永良部島の噴火をめぐる映像」などには被災者の声や表情が含まれていますので、
特殊撮影では対抗しきれない部分だと思わされました。

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「自主防災態勢の構築」のお勧め

「日本沈没」は架空の理論に基づくサイエンスフィクションですけれども、「巨大地震」「火山噴火」「大津波」「大洪水」「異常寒波」などがいつどのようなかたちで私たちの日常生活を破壊するかは分からないことです。

一方、政・官主導の「防災対策」が強化されつつあることは事実ですが、「石油ショック対策」時のように「緊張感を持ったしっかりとした取り組み」がなされているのかといえば疑問の残るところでもあります。

どうか、無理のない範囲で、お一人お一人ができる限り自主防災の態勢を整えておかれることを強くお勧めいたします。

(投稿日:2015/06/12  更新日:2017/05/03)

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